信長の妹 お市の方を 母とする 浅井三姉妹の ひとり。姉妹の中では、姉の 茶々(淀殿・豊臣秀頼の母)や、妹の 江(崇源院・徳川家光の母)が 有名すぎて、その陰に 隠れがち ですが、この二人 にも 負けない くらい、初(常高院)も 波乱万丈な 人生。4度の 落城に 巻き込まれるも、その命のピンチ を 4度とも 生き延びました。
亡くなる 直前の 豊臣秀吉 から、女性としては珍しく 夫とは 別に 2つの村(2千4百石)が 与えられるほど、能力を 買われるとともに、信頼されていた 人物。三姉妹(茶々・初・江)の中では 最も 目立たないですが、もしかしたら 最も できる人 だったのかも。
戦国姫シリーズ(藤咲あゆな・作/マルイノ・絵)の「初の物語」では、三姉妹では あまり スポットが 当てられなかった、初(常高院)の人生を 描いています。
注目されやすい 姉・茶々(淀殿)や、妹・江(崇源院)の 物語で 描かれている、初(常高院)とは 違った 切り口の 姿や エピソードを みることができます。
このシリーズをきっかけに 歴史に 興味を 持つようになった 我が家の 小6娘が、好きなテレビも 忘れて 夢中になっていました。
1.1. 初(常高院)について
1.2. 「戦国姫 初の物語」/小学上級・中学から
1.3. 関係する戦国姫シリーズ
2. 浅井三姉妹について
2.1. 姉・茶々(淀殿)/豊臣秀吉の側室・秀頼の母
2.2. 妹・江(崇源院)/徳川秀忠の妻(継室)・家光の母
3. さいごに
1. 初(常高院)の物語
1.1. 初(常高院)について
a 誕生の年から波乱の先ぶれ
初 が 生まれたのは、生家の 浅井家が、同盟を 結んでいた 信長と 敵対することになった「金ヶ崎の退き口」や「姉川の戦い」が あった年と いわれています。
浅井家の 命運が、奇しくも 暗転しだした 年のことでした。
b 小谷城 落城で 父・浅井長政との別れ
初が 4歳のとき(茶々は 5歳、江は生まれたばかり)、人生で 初めての 落城(敵に 城が攻め落とされること)で、大きな悲しみを 経験します。
この小谷城の 落城で、父・浅井長政を失くし、生家の 浅井家は 滅亡してしまいます。一緒に暮らしていた 異母兄の 万福丸も、捕らえられ 命を 絶たれます。
初は、母親の お市(信長の妹)と、姉・茶々、妹・江とともに、浅井家を 討った 秀吉(当時は藤吉郎)を通じて、織田家に 保護されます。
c 母・お市の再婚
初が 13歳の年、本能寺の変 が 起こります。母・お市の 兄である 織田信長が 明智光秀に討たれ、その明智光秀は 秀吉に 討たれます。
その後 開かれた 織田家の 後継者を 決める清州会議で、わずか 3歳の信長の孫・三法師を 推した秀吉に 対し、信長の三男・信孝を 推す 柴田勝家が 対立します。
信孝は、お市を 柴田勝家の 正室に迎えて 信長の義弟とすることで、秀吉に 対抗しようと 動きます。 お市も 亡き夫・浅井長政の仇である 秀吉への思いから 再婚を受け入れます。
多感な時期の 初にとっては、母の再婚という 複雑な思いがあったことでしょう。
d 北ノ庄城 落城で 母・お市との別れ
この頃、初は 自分の人生に 大きくかかわる 人物と 出会います。ひとりは、浅井家の生き残りである 異母弟の 万寿丸(のちの喜八郎)です。
もうひとりは、父・長政の 姉の子にあたる 従妹の 京極高次。後に 初の 夫となる人物です。
お市の 再婚で 移ってきた、北ノ庄城での 生活も、翌年の戦により 終わりを迎えます。勝家は 秀吉に 敗れ、母・お市は 勝家とともに 北ノ庄城で 命を絶ちます。
初が 14歳の年です。初と、姉・茶々、妹・江の 三姉妹は、人生で 二度目の 落城を 経験し、母・お市を失います。 そして 三姉妹は 織田の血筋として 秀吉に 保護されます。
1.2. 「戦国姫 初の物語」/小学上級・中学から
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戦国姫 -初の物語ー (集英社みらい文庫) [ 藤咲 あゆな ] |
カバーの 挿絵には、まだ 幼さの残る 初の姿が 描かれています。描かれた 小鳥は、身動きが 取れなかった 姉・茶々や、妹・江とは 対照的に、敵対する 豊臣方の茶々や、徳川方の江との間を 自由に 飛び交うことができたことを 象徴しているようです。
我が家の小6娘が、好きなテレビやゲームを放ったらかして、読書に夢中になっていました。
女性視点で見る 戦後時代は 新鮮で、女子にも この時代への 興味が 持てるかもしれません。
1.3. 関係する戦国姫シリーズ
1.3.1. 「戦国姫 茶々姫の物語」
茶々姫は 初の姉。 浅井三姉妹の 一番上です。
秀吉の 側室となり、秀吉の嫡男・秀頼を生み、最期は その秀頼とともに、大阪城で 徳川家康に 攻められて 命を絶ちます。徳川家に敵対したことで、亡くなった後も、悪女としての 汚名を着せられます。
茶々は、初の 姉として ともに 小さい頃から 苦労を 重ね、しかも 父・長政の仇である 秀吉の 側室になるという 普通では 考えられない 過酷な 人生を 歩んだ人物。
近年は、茶々が見直され、茶々に同情的な 物語も出てきています。従来の「悪女」というイメージとは違った、新鮮な姿が 見られるはずです。
1.3.2. 「戦国姫 -月の巻-」
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浅井三姉妹(茶々・初・江)の母・お市の 物語が あります。
お市は 織田信長の妹。兄の命令で 政略結婚のため 浅井長政のもとへ 嫁ぎました。かわいい三姉妹が 生まれましたが、兄と夫が敵対したことで、幸せは長く続かず・・。
戦国一の美女と うたわれた お市の方の 生涯の物語を 読むことで、浅井三姉妹の 物語も より深く味わえますね。
2. 浅井三姉妹について
2.1. 姉・茶々(淀殿)/豊臣秀吉の側室・秀頼の母
浅井三姉妹の一番上です。
父の仇である・秀吉の側室となりますが、嫡男・秀頼を生むことで、豊臣家滅亡の最期まで 豊臣方として、家康と敵対しました。
そのため、亡くなった後も、徳川家がつくった 江戸時代には、悪女としての汚名を着せられています。
浅井三姉妹でも 最も 過酷な 人生を歩んだ人物かもしれませんね。
戦国姫シリーズにも、「茶々姫の物語」があります。
2.2. 妹・江(崇源院)/徳川秀忠の妻(継室)・家光の母
浅井三姉妹の一番下です。
生まれた年に浅井家が滅亡し、お市と三姉妹とともに 織田家に保護されます。
上の二人の姉妹と異なり3度結婚しています。一度目は、秀吉が決めた婚姻にもかかわらず、秀吉の都合で離縁させられます。二度目の結婚は 夫が戦で病死してしまいます。三度目の結婚が、家康の子・秀忠で、後の三代将軍・家光を生むのでした。
浅井三姉妹の中では 一番 出世した ことになりますね。
3. さいごに
浅井三姉妹 の中では、最も 控え目な ポジション の 初(常高院)。
しかし敵対する 豊臣側にも、徳川側にも どちらにも 通じる ことが できた 数少ない人物 であり、彼女にしか 見えない 世界も きっと あったはず ですね。
初の視点で、どんな世界や 歴史が 見えてくるのか? すごく楽しめます。
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